●どんなゲーム?
ククカードは、フランス・イタリアで完成された、ヨーロッパに広く伝わるカードゲームです。
トランプのように様々な遊び方がありますが、ここでは代表的な「カンビオ」というルールを紹介します。
2~38人までプレイできますが、私の体感では5~10人くらいが面白いかと思います。
というか、38人もいたらきっとぐだぐだです。別の遊びをした方が盛り上がると思います。
プレイ時間は皆の頑張りしだいですが、だいたい30分ほどで1ゲームが終わるくらいだと思います。
●ルール
カンビオは、全プレイヤーに与えられたチップを何回かの勝負によって奪い合うゲームです。
誰かが破産するまで続け、一番多くチップを稼いだプレイヤーが勝者となります。
本場ではチップの代わりに小銭を賭けたりしていたらしいです。
・ゲームの準備
チップを全員に配ります。
何点分配るかによって、ゲーム時間がかわります。
だいたい25点分くらいがいいでしょう。
あまり時間の無い時は10点くらいでもいいと思います。
次に、席順を決めます。
…まあ、もう座っちゃってる場合は立つのも面倒なんで、そのままでもいいと思いますが、公式ルールに則りたい人は次の方法で席替えをして下さい。
全員で一枚ずつカードを引き、強いカードを選んだ人から順に、好きな席に座ります。
この時、一番強いカードを引いた人が、最初のディーラーになります。
なお、道化のカードは、この時は最強扱いになります。
同じカードを引いた人がいた場合、その人達だけでもう一度カードを引いて決めます。
最後に、チップ回収用の箱やポットを、中央に用意します。
このポットを囲む形で、全プレイヤーが座るのです。
・基本ルール
まず、基本的なルールを説明します。
ディーラーはカードをシャッフルし、左隣のプレイヤーに渡します。
左隣のプレイヤーはカードをカットし、再びディーラーへ戻します。
ディーラーは右隣の人から、反時計回りにカードを一枚ずつ配っていきます。
最後に自分の分を配り終えたら、残ったカードを山札として置いておきます。
ディーラーは右隣の人に「どうぞ」とゲームの開始を告げます。
ディーラーの右隣の人から、反時計回りに手番が移っていきます。
自分の番が来たプレイヤーは、自分の手札を見て、そのカードで勝負するかどうかを考えます。
そのカードで勝負したければ、「ノーチェンジ」と宣言し、手番を右隣のプレイヤーに移します。
持っているカードが弱く、他のカードで勝負したいと思ったら、「チェンジ」と宣言します。
「チェンジ」と宣言した場合、右隣のプレイヤーと、互いが持っているカードを交換します。
交換が終わったら、右隣のプレイヤーに手番が移ります。
こうして一周し、最後にディーラーの手番になります。
ディーラーが「チェンジ」を宣言した場合は、手持ちのカードと山札の一番上のカードを交換します。
ディーラーの手番が終わったら、勝負です。
失格になっていないプレイヤーは全員、自分の持っているカードをオープンし、一番弱いカードを持っていた人が失格となります。
カードに書いてある数字が、そのまま強さをあらわします。
数字が大きければ大きいほど、強いカードです。
・特殊なカード
ククカードには、いくつか特殊なカードがあります。
・クク(CUCCO)
最も大きい15の数字が書いてあります。
このカードを持っているプレイヤーは、「クク」と宣言し、カードをオープンすることができます。
すると、その時点で全員の手番は強制的に終了となります。
その後、その時点で失格になっていない人は全員、カードをオープンし、通常通りに勝敗を決めます。
このカードを持っているプレイヤーは、左隣のプレイヤーに「チェンジ」と言われないように注意しなければなりません。
「チェンジ」と言われた時点で交換は成立してしまい、カードを渡さなければいけなくなるからです。
「チェンジ」と言いかけた瞬間に「クク」を宣言すると、揉め事に繋がることもありますので、ある程度余裕を持って宣言するとよいでしょう。
山札からククを引いた場合、交換は不成立となり、元のカードで勝負しなければなりません。
・人間(HAI PIGLIATO BRAGON)
14の数字が書いてあります。
このカードを持っている人が左隣の人に「チェンジ」と言われた場合、「失格」と宣言し、このカードを相手に見せます。
この時点で交換は不成立となり、左隣のプレイヤーは失格となります。
山札から人間を引いた場合も同様で、交換は不成立となり、引いた人は失格となります。
・馬(SALTA)
13の数字が書いてあります。
このカードを持っている人が左隣の人に「チェンジ」と言われた場合、「パス」と宣言します。
そうすると交換は不成立となり、さらに次の手番の人に対して交換を請求しなければなりません。
(つまり、馬のカードを持っている人の左隣と右隣の人が、交換をすることになります。)
次の手番の人も特殊なカードを持っていた場合は、その効果に従います。
山札から馬を引いた場合も同様で、山札からもう一枚カードを引きます。
・猫(GNAO)
12の数字が書いてあります。
このカードを持っている人が左隣の人に「チェンジ」と言われた場合、「ニャオ」と宣言し、このカードを相手に見せます。恥ずかしがってはいけません。ちゃんと言いましょう。
できる人はリアルに猫の鳴き真似をすれば盛り上がること間違い無しです。
さて、「ニャオ」と宣言した場合、交換は不成立となり、交換を要求した人が持っているカードの
元々の持ち主が失格となります。
例えば、プレイヤーA、B、Cがいます。
AはBに対して「チェンジ」を宣言し、交換が成立しました。
次に、BがCに対して「チェンジ」を宣言したら、Cは「ニャオ」と宣言し、カードをオープンしました。
この場合、Bが持っていたカードは、元々Aが持っていたカードなので、Aが失格となります。
山札から猫を引いた場合も同様で、交換は不成立となり、「チェンジ」を宣言していた人の持っているカードの元々の持ち主は失格となります。
・家(FERMATEVI ALQUANTO)
11の数字が書いてあります。
特殊効果については「馬」と同じです。
「チェンジ」と宣言されたら「パス」と宣言し、次の人との交換になります。
山札から引いた場合も同様です。
・道化(MATTO)
-4の数字が書いてあり、そのまま持っているだけでは最弱のカードです。
しかし、このカードは非常に強力な特殊効果を持っています。
道化を持っているプレイヤーが他のプレイヤーとカードを交換した場合、相手に対して「失格」と宣言し、道化のカードを見せます。
すると、道化を受け取ったプレイヤーは、失格となります。
道化を持っているプレイヤーが右隣のプレイヤーに対して「チェンジ」と宣言した場合も、道化を持っているプレイヤーが左隣のプレイヤーから「チェンジ」と宣言された場合も、同様です。
ただし、前者の場合は、相手の持っているカードが人間や猫だった場合、交換は不成立となるので、特殊効果は発揮されずに、人間・猫の効果により失格となります。
山札から道化を引いた場合は特別で、最強のカードになります。
つまり、ククよりも強いカードとして扱うのです。
・バケツ(SECCHIA MENO DI NULLA)
・仮面(MASCHERONE MANCO DI SECCHIA)
・ライオン(LEONE)
この三枚のカードは、ただ弱いだけで、特殊効果はありません。
・ゲームの進め方
以上のルールでゲームを何回か行います。
まず、第1セットが始まります。
一回のセットの中には何回かのディールがあります。
全プレイヤーは、参加料として1チップずつ、ポットに払います。
全員が払い終えたら、第1ディールが始まります。
通常通りのルールでゲームを行い、失格になったプレイヤーは全員、1チップずつポットに払います。
第1ディールで使ったカードは全て捨て札となります。ゲームからは除外し、以降のディールを行います。
次に第2ディールです。
ディーラーは、右隣の人に移ります。
毎ディールともこれは同様です。ディールがかわる度に、ディーラーも右隣の人へ移るのです。
第2ディールも通常通りのルールでゲームを行い、失格になったプレイヤーは全員、今度は2チップずつポットに払います。
同様に、使ったカードは全て捨て札となり、ゲームから除外します。
次に第3ディールです。
ディーラーは右隣の人に移り、通常通りのルールでゲームを行い、失格になったプレイヤーは全員、3チップずつポットに払います。使ったカードは捨て札となります。
ここまでを「
子供の時間」と呼びます。
そしてここから先は、「
大人の時間」となるわけです。
第4ディール以降は、失格したプレイヤーはどんどん抜けてゆき、生き残ったプレイヤーだけでゲームを続けていきます。
失格したプレイヤーにディーラーが回ってきた場合は、さらに右隣の人がディーラーとなります。
(右隣の人も失格していた場合は、さらに右隣の人がディーラーとなります。)
こうして、最後の一人が残るまでディールを行い、残った一人はこのセットの勝者となります。
勝者が決まった時点で第1セットは終了となり、勝者はポットに蓄えられた全チップを総取りします。
もし途中で山札が無くなった場合、その時のディーラーが捨て札をよくシャッフルし、左隣のプレイヤーにカットしてもらい、山札にします。
第1セットが終わったら、次は第2セットです。
流れは第1セットと同様です。
最初に参加料を1チップずつ払い、子供の時間(1~3ディール)を行った後に、大人の時間(4ディール~)を行い、このセットの勝者を決めます。
セットの始めに、参加料を払えない(チップが全て無くなってしまった)プレイヤーがいた場合、ゲームは終了となります。
この時点で、最も多くチップを持っている人が、勝者になります。
セット中にチップが0になってしまっても、まだゲームは終わりません。
そのセットの勝者になれば、チップを総取りして復活できます。
チップが払えなければ、誰かから借りて下さい。
●このゲームの良い所
プレイしていて感じるのは、一手一手の動きがとにかくきっちりと定められているということ。
さすが元々は賭け事に利用されていただけあり、イカサマの無いように細かな所まで決められています。
歴史を感じますね。
また、ククにはカンビオ以外にも様々な遊び方があります。
ククカード1セットだけで色んなゲームが出来て、非常にお得。
自分で遊び方を考えてみるのも面白いかもしれません。
飽きたら神経衰弱もできますし。
●ククカードに書かれている文字
ククカードには、イタリア語で文字が書かれています。
せっかくなので、意味を調べてみました。
・CUCCO(クク)
「私は欺く」という意味らしいです。
全てを照らし、オープンさせるククの特殊効果からは、想像できない言葉ですね。
なんだか深読みの余地があります。
・HAI PIGLIATO BRAGON(人間)
「囚われのブラゴン」という意味らしいです。
ブラゴンって誰。知ってる人がいたら教えて下さい。
・SALTA(馬)
「それは跳ねる」という意味らしいです。
まあ、そのまんまですね。
・GNAO(猫)
なんでしょうこれは。多分、猫の鳴き声だと思うんですが。
・FERMATEVI ALQUANTO(家)
インターネットの自動翻訳サイトを利用したら「あなたをやや止めてください」とかマヌケな結果が返ってきました。
多分「あなたはしばし留まる」とかそんな解釈だと思いますけれども。
でも、家は通り過ぎるカードなのに、ちょっと意味が食い違ってますね。
これも、深読みしろ、ということなのでしょうか…。
・MATTO(道化)
「ばかげている」だそうです。
そのまんまですね。
・SECCHIA MENO DI NULLA(バケツ)
「バケツは0より少ない」だそうです。
・MASCHERONE MANCO DI SECCHIA(仮面)
「仮面はバケツにさえ及ばない」だそうです。
二つ目の単語を読んで変な物を想像しないで下さい。今は大人の時間ではありません。
・LEONE(ライオン)
まんま、「ライオン」でした。
ライオンのカードは、初期のCUCCOには一枚しか含まれていなかったそうです。
元々は会社名とロゴを描いただけのカードが、ゲームに利用するものと勘違いされて、そのまま弱いカードとして広まったと考えられています。
ライオンのカードに何の捻りもなくライオンと書かれているのは、そのためでしょうか。